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2006年度近大高専_木岡 桂太郎さん
近大高専OBの木岡 桂太郎さんは、高専時代の5年間、寮生活を送り寮長も務められました。同年代の中学生のうち高専に進学するのは1%で、とても希少な経験ができるとポジティブな考えを持ち、自信につながったそうです。また、在学中に他分野の材料工学に興味を持たれ、進路に悩みましたが、高専にいることがチャンスと捉え学びを進め、見事その分野の大学に進学されました。現在は母校の近畿大学工業高等専門学校で教鞭をとられご活躍をされています。(文責:連合会事務局)
高専に進学する中学生の割合は全体の約1%だそうです。高校に比べると認知度が低いこと、数が少ないこと、15歳という年齢から進路を工学の道に絞り、5年間通う必要があるといったことが、主な理由に挙げられるようです。しかし高専の魅力を挙げだすときりがありません。私は高専の数ある魅力の中でも、5年制だからこそ大学受験のための勉強が不要で、その分ものづくりの本質的な学びができたことと、自由な時間があったことに大きな恩恵を受けたと感じています。中学までは勉強しなければならないというような義務感がありましたが、高専の授業は座学と実習の内容が結び付いているので面白く感じました。また、興味のあることや不思議だと思うことを主体的に学ぶようになっていきました。
上述のとおり、高専に進学することで既にたった1%の少数派に属することになりますが、さらにその高専で何をするのかによって、とても希少な経験をもった人になれます。私は5年間を学生寮で過ごし、4、5年生の時には寮長をさせていただき、貴重な経験を得ることができました。もし高専生の中でさらに1%の者しか経験しないことをすれば、それは全体から見ると1万人に1人しか経験できないことをしていることになります。希少な経験をすることが正しいというわけではありませんが、誰もが得られない経験を得ることはきっと自信になります。またそういった気概のある人は、企業などにとっても魅力的だと思います。高専の就職率が高いのは単に専門性が高いためだけではなく、こういった人物を採用したいというのも少なからずあると思います。
私は高専では機械工学を学んでいましたが、3年生の時にあることがきっかけで材料工学の分野に強く惹かれ、これを深く学びたいと思うようになりました。しかし既に機械工学のコースに入っていて、卒業まではさらに2年以上かかります。そこから材料工学の学びをすることは、それまでの学びが無駄にならないのか、3年生の時点で高専を退学し進路変更した方がいいのかと思い悩みました。しかし受験勉強をしなくても進学できる高専にいることはチャンスだと気づき、課外活動のようにして少しずつ材料工学について自ら学び始めました。その学びの甲斐あって材料工学を専攻できる大学に進学し、なんとか博士号を取るにまで至り、現在は材料工学と機械工学の二つの専門分野を持つようになりました。これはまず高専に入っていなければできなかったことだと思います。
7年間の企業勤めの後、現在は母校の近畿大学高専にて材料工学と機械工学の両分野について教鞭をとっています。