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2011年富山高専_河原 貴軌さん
富山高専OBの河原貴軌さんは、高専時代はロボコンに熱中していました。ロボコンの活動を通じて、ものづくりの魅力にどんどんのめり込み、積極的に強豪校を訪問されるなどして仲間も沢山でき、充実した高専生活を過ごされました。進学後も学生ロボコンに参加され、見事世界大会で優勝されました。その時、高専でやってきたことがどこかで繋がると感じたそうです。その後も、ものづくりへの興味は続き、現在は、自動運転システムに関連した企業「Tier IV(ティアフォー)」でご活躍されています。高専という環境には、何かに挑戦する機会が身の回りにあり、だからこそ高専生は「挑戦する人」であって欲しいとのメッセージをいただきました。 (文責:連合会事務局)
はじめまして。Tier IVというスタートアップでエンジニアをしている、富山高専のOBです。私からは、高専で得られた経験と、現役生に期待したい事についてお話しさせて頂こうと思います。
在学中の私は、高専ロボコンに熱中していた学生でした。そんな学生生活で得られた経験は、組織でのものづくりに挑む事による、多くの失敗と少しの成功と、そしてその過程で起こる様々な楽しい時間です。
実は高専時代の戦績は惨憺たるもので、知識やスキルが身について主力となった筈の4、5年時の大会でも全国大会に行けず、それどころか何一つ賞を取れない結果に終わりました。出来としては大会中2位の記録など上々でしたが、トーナメント1回戦でその年の優勝チームに負けるなど、現実は甘くないものです。そんな運の要素に左右される程度では駄目なのだと、強く感じた出来事でした。
辛い思いもありましたが、試行錯誤を楽しめた時期でもありました。次の目標が見えてくると試したい事が山ほど出てきます。そして、こうすれば、もしかして、と、何度もやり直すのですが、それでもそう簡単に理想には届きません。できるのは少しずつの変化だけです。しかし、その一つ一つに理由を考え仮説を立て試し結果を比べ、また考える。その繰り返しで、今日まで見えていなかった事がまた一つ見えてくる、そんな好奇心が満たされる楽しい時間を味わう事ができました。
その頃からは、全国の強豪校に連絡して訪問させてもらったりと、手当たり次第に情報を集めたりもしました。実際にお話してみると、もっとやりたかったのに諦めた事や面白い失敗など、表に出てこない楽しい話が沢山出てきます。似たような事に熱を持っている仲間達とも出会え、知識も世界も広がりました。この寄稿のHPにも、その頃からの顔なじみの方々がいらして、今でも嬉しく思います。
そんな高専生活の後、編入後もロボコンに参加し、最後の機会となった大学ロボコン2013では世界大会で優勝する事ができました。要素も組織も違う環境でしたが、これまでの経験が結果に繋がった出来事が幾つもあり、今後の人生でも、これまでやってきた事の点と点がどこかで繋がるものなのだと、感じた出来事でした。
その後もものづくりへの興味は続き、日本の大手メーカーの開発部、大手外資系IT企業の研究所を経て、今の会社に入社しました。現在は、自動運転システムの要件作成や、プロジェクトマネージャーなどを担当し、Tier IVのビジョンである"誰もが自動運転の発展に貢献しながらメリットを享受できるエコシステムの構築"を目指し、開発を行っています。
今から思うと、ものづくりを存分に楽しめた高専での経験は、どのキャリアでも大きな支えになっている事を実感します。
最後に、私から高専生に望むのは 挑戦する人 である事です。
高専という環境の魅力は、自由な時間が多く、作れる環境があり、何かをやってみたい人達が近くにいる、そんな何かに挑戦する機会が身の回りにある事だと私は思います。そしてその過程はやってみるととても楽しいものです。
理想を求め、現状をよしとせず、物事を前に進める人。そうやって世の中を変えていける能力を持った方々が、一緒に暮らす世界に沢山いる事ほど、楽しく、また頼もしく思う事はありません。期待しています。