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2015年度神戸高専_髙田 崚介さん
神戸高専OBの髙田 崚介さんは、中学3年生の頃は漫画家になりたいと夢見ていたそうですが、お兄さんが高専OBだったこともあり、高専へ進学され、プロコン出場や研究したいテーマも見つけ、色々な研究や経験をされました。その後大学院へ進学され、現在は、神戸市立工業高等専門学校電子工学科の講師としてご活躍されています。そんな高田さんから、後進の学生たちに「高専を使いこなす」ようにとのエールをいただきました。(文責:連合会事務局)
ただ絵を描くのは大好きでしたが、特に描きたいものがあるわけではありませんでした。また、子供の頃から家のコンピューターを使って絵を描いたりアニメを作ってみたりしていたので、コンピューターにはとても興味があり、HTMLくらいならいじったりしていました。
2007年8月頃、そんなこんなでボクは将来漫画家になることを夢見る中学3年生でした。進路を考えるにもそれ以外にやりたいことはなく、普通に進学校の見学にいったりしてました。ただ、6コ上の兄が高専出身だったので、高専って自由だなとか、楽そうだなとか思っていました。そうやって進路を悩むうちに、漫画家は9割9部食っていくのが難しいし、「ありきたりの食材ではなく、頑張って集めた素材で作った漫画が読みたい(意訳)」という藤子F不二雄先生の言葉を信奉していたので、「そうだ!高専なら誰も持ってない食材を持った漫画家になれる!」「しかも手に職がついて食いっぱぐれない!」「そして楽(大嘘)」と思った私は試しに受けてみることにしました。
2008年4月、高専に入学したボクは、絵を描くから美術部、ではなく、せっかく高専に入ったんだから工学を存分に味わうために、電子計算機部(電算部)というところに入ってプログラミングを学び始めました。それから、高専プロコンなどに出つつ、紆余曲折あって友だちに誘われてロボカップ(ロボットサッカー)に出場したり、アフィリエイトでお小遣い稼ぎしたり、ガジェット系ニュースサイトのライターバイトをしてみたり、いろいろ経験しました。
そんな中、2、3年生の頃に大阪大学の博士課程の方が非常勤講師として、授業を教えにきており、その授業の合間に雑談として話していた、「Dvorak配列試してみた」「マウスで腱鞘炎になる話」「会話のコンテキストに合わせた空間照明演出」などヒューマンインタフェースの話に大変興味を持ち、卒業研究ではインタフェースをやってみたい!と思うようになりました。
というので、5年生の卒業研究では、「手袋型のスマートフォンを作ってみたい!」ということでデータグローブの研究を始めました。専門の先生がいなかったので、部活の顧問の先生に、こういうテーマをやりたいので先生の専門とは違いますが研究室配属の希望を出していいですか?と学食で聞いた覚えがあります。2013年4月、もっと作りたいもの・やりたいことがあったので、時間稼ぎのつもりで専攻科に進学し、同期の友人とゲームつくったり、IVRCというバーチャルリアリティのコンテストに出たり、データグローブの研究をしたりしていました。研究が面白くなってきたので、勝手に学会に申し込んだり、コンテストに出してみたりして、積極的に外に出すようにしていました。すると、だんだんもっと研究したいと思うようになりました。
そんなときに、同期の友人が「筑波大学のオープンキャンパスにいくけど、いっしょに行かん?」と誘ってくれたので、「つくばと言えば工学の聖地」と思っていた私はノコノコついていって、IPLABという研究室と出会うことになりました。そのときIPLABは音の振動を使った研究のデモ展示をしており、触りながら修士課程の先輩方にいろいろ質問したら大いに盛り上がり、「よかったら来年から来なよ」と言ってもらったので、何度か見学を申し込み、神戸とつくばを往復し、受験し、無事進学することになりました。大学院では、研究していっぱい論文を書いたり、気のあった同期たちとコンテストに出展し、受賞して得た賞金で起業したり、未踏に採択されたり、国内外のいろんな研究所にインターン等でお邪魔したりと大変な経験を積むことができました。
そして、なぜか今は、母校の教員としてまた神戸に帰ってきています。
***以下、アドバイスです***
高専は普通の学校に比べて、同じ志を持った仲間が見つかりやすく、ものづくりを積極的にサポートしてくれる環境で、様々な経験を持った先生と関われる場でもあります。ただ、勉強やレポートに追われることも多く、環境が固定されるので「井の中の蛙」になりがちかもしれません。
ボクがそうだったように、先達として、後進たちには「高専に囚われる」のではなく「高専を使いこなす」ようにして欲しいなと思っています。高専はうまく使うとめちゃめちゃトべるので、おもいっきり踏み台にしてほしいな、と思っています。