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2020年度長岡高専_オドンチメド ソドタウィランさん
長岡高専OBのオドンチメド ソドタウィランさんは、モンゴルに創設された高専の一期生として入学し、自国が抱える課題を仲間と真剣に語り合う中で起業という選択肢があることを知りました。その後、長岡高専へ留学され、道具、機器類等ものづくりのための恵まれた環境で勉学に励みました。また、プレラボ制度をきっかけに恩師と出会い、とある企業が抱える課題について知り、ディープラーニング技術を用いて解決し、後にDCONで優勝されました。この時「高専は社会の医者」であることを実感されたそうです。高専の5年間を通して同じ山に登る仲間をみつけ、手を動かし自分たちの物語を「作って」みてくださいとの熱いメッセージをいただきました。現在は、東京大学工学部システム創成学科へ進学し、在学しながら、起業したIntegrAIの創業メンバーとしてご活躍されています。 (文責:連合会事務局)
中学を卒業するときに、私は1つの大きな選択と向かい合いました。それは、その時までにモンゴルにはなかった「高専」という学校に進学するか、あるいは医学の道を進むかという選択でした。私の家系には医者が多いため、その影響もあり大きな選択でありました。しかし、当時の私が最も得意としていたのは物理であり、宇宙に大変興味を持っているため、それを活かすことができないか考えました。その結果、「工学」の分野に進めば好きな物理もできて、社会の貢献できると確信しました。
そして、2014年にモンゴルで出来たばかりの「高専」の1つである新モンゴル高専の1期生として入学しました。その時はプログラミングどころかパソコンについても知識がないまま工学の道へ進むことになりました。そこで出会ったのは後に親友となる仲間たちでした。みんなモンゴルが抱える課題について話す時はみんな真剣になります。そして、起業という選択肢を教えてくれたのもそのような仲間達です。今日において、その時の仲間は高度な技術力をもったエンジニアとして、経営者として活躍するようになり、私は今でもいろんなことを勉強にさせられています。同じようなことに興味をもっている仲間たちと私は高専を通して出会うことになったのです。
数年が過ぎたときに学業を追い求め、日本に留学することを決意しました。そして2018年に長岡高専の3年に入学することになりました。そこでまず驚いたことは、実験と実習を行うときに学生一人ひとりにはんだごてとオシロスコープを使用できるというところです。留学前は、5人に1つのはんだごてを使いまわし、オシロスコープには触れたこともなく、電子部品を買うことも困難でした。高専はまさに何かつくるための環境が整っていると感じたことが今でも印象に残っています。
長岡高専にはプレラボ制度とよばれる、1年から研究室に配属できる制度があり、これをきっかけに私は今でもお世話になっている恩師と出会いました。先生はプレラボを通して地域の課題解決に積極的に取り組んでおり、大変興味を感じたため先生の研究室で活動することになりました。この時、私は手を動かして「作る」ことの大切さを知るきっかけになりました。
そんな時、とある企業のから悩みをいただきました。それは、アナログメーターの点検が課題になっているため、あと付のカメラで数値化できないかという課題でした。当時勉強していたディープラーニング技術を用いてこの課題を解決してみようと思い、これが後にDCONで優勝することになったMETERAIの始まりでした。「高専は社会の医者である」という言葉を耳にしたことがあります。そしてこの時、地方に存在する高専はそれぞれ地元の課題を技術で解決する、まさに社会の医者であるということを実感しました。
私の国では今でも都市開発や教育、医療などのたくさんの社会課題があります。そして、これらの社会課題を解決する鍵は技術であるのではないかと考えています。技術を学ぶために留学し、高専で勉強する道を進むことになったのですが、そこでみつけたものは知識だけではありませんでした。大切な仲間たちをはじめ、今でも私の背中を押してくれている方々と出会うことになりました。高専は、何か実現したいときには工具や部品が充実している環境があります。そして、今高専で勉強している学生のみなさんは、是非とも5年間を通して同じ山に登る仲間をみつけ、手を動かして自分たちの物語を「作って」みてください。