-
HOME > 高専卒業生からのメッセージ > 高専卒業生からのメッセージ > 2020年度群馬高専_横山 青南さん
2020年度群馬高専_横山 青南さん
群馬高専OGの横山青南さんは、白衣着て実験している学生の姿を見たのが、高専に入学したきっかけとのこと。高専時代は部活動の茶道をはじめ、群馬高専が中学生向けに実施している「スマートサイエンススクール」で化学の楽しさを知ってもらう活動をされていたそうです。現在は、学生時代に学んでいた分野とは別の分野のアインググループの広報でご活躍されています。文理の線引きはせず、「好奇心」を軸に進むところや取り組むことを決めてみてはと、進路に悩む学生への応援メッセージをいただきました。(文責:連合会事務局) 中学3年生の春、ぼんやりと進路について迷っていた時に担任の先生から「高専」なる少し変わった学校の存在を教わりました。帰宅し地元の群馬高専のHPを見ながらまず思ったのが「あ、白衣着て実験するのって、なんかかっこいい。」ということ。この単純浅薄な好奇心が私の志望動機でした。
そうして1年後、好奇心のままに高専に入学したは良いものの、数週間の実験の末に得た雀の涙ほどの生成物にこちらが涙したり、目の前のレポートを眺めながら諦めを顔にたたえて朝を迎えたり。テスト期間は過去問を血眼で暗記することと図書館で閉館を知らせる壮麗なクラシック音楽を耳にしながら「頑張った感」に浸ることに精一杯でした。
寄稿していらっしゃる他の高専卒業生の皆さんと比べるとなんともどうしようもない高専生ですね。しかしながら、決して無駄な5年間ではなかったと、今になって思うのです。(自分を擁護しているわけではなく...。)
例えば、実験からは、反応や技術の先にある工程の作り上げ方や物事の捉え方を学びました。またレポートからは、点と点を結びつける方法を教わりました。図書館の閉館まで頑張って覚えた知識は薄らいでしまっても、これらはおそらく今後も自分の根底にあり続けるのだと思います。
社会人になり、前述したようないわば「頭の使い方」とも言えるものが、知識や技術と同等もしくはそれ以上に大事であることを強く実感しました。この頭の使い方を、露骨にではなく浸透させるようにじっくりと教えてくださった先生方には心から感謝しています。また、そうした面で多くの気付きを与えてくれたクラスメイト、高専の適度な自由さは掛け替えのないものでした。
今、私は白衣の次なる好奇心によって、学生時代に学んでいた分野と全く別の分野で働いています。私の勤めているアインググループは、積極的に手を挙げれば様々なことにチャレンジできるフィールドがあり、また高専生の創造性を非常に高く評価してくれていると感じます。「高専生は理系の専門職に」という固定概念にとらわれず、一人ひとりのやりたいこと・向いていることを親身になって考えてくれる、そんな会社です。お陰で私も広報という仕事の楽しさや奥深さを知ることができました。実際に自分が広報の仕事をしてみて、文理の線引きはナンセンスだと感じることが多くあります。すでにビジネス本や新聞に書き散らかされていることかもしれませんが、広報をするにあたって、情報を整理して人に伝えるのが好きだとか誰かの役に立ちたいだとか、そういう心持ちがあるかどうかの方が重要だということを実感として感じました。スキルは後から身に付けられます。そしていくらあっても足りることはありません。私も日々勉強中です。
ところで、最近嬉しいことに、仕事上で現役の高専学生さんと接する機会がしばしばあります。そんな中で、「将来この分野の仕事や研究を続けるべきか」「これまで学んだ知識を生かさず無駄にしてしまっていいのか」と悩んでいる学生さんも少なからずいるものだなと感じました。そんな方こそ、私はとても応援したくなります。あまり深く思い悩まず、ひとつの方法として「好奇心」を軸に進むところや取り組むことを決めてみるのもいいかもしれないと思ってもらえたら。このメッセージからそんな気持ちが伝われば幸いです。