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2020年度新居浜高専_鎌田 晴渡さん
新居浜高専OBの鎌田晴渡さんは、高専生のときから「高専生が企業に就職する道筋をつくることができればいいな」と考えられたそうです。また、入学してから先輩との関わり合いが大きな糧となり、沢山の人たちとの出会いがあり、多くの仲間を得ることができたとのこと。就職してからは、職業柄高専のすばらしさを気づくことが多くなったとのこと。現在は、メディア総研株式会社でご活躍されています。(文責:連合会事務局)
この度はこのような機会をいただき、誠にありがとうございます。せっかくのことですので、何について書こうかと考えましたが、自己紹介をさせていただくにあたって1番のポイントとなるのは、私が「メディア総研株式会社」という企業で働いていることでしょう。
メディア総研は、主に高専生の就職関連事業を企画・運営・実施しているところです。私は高専生のときから、「高専生が企業に就職する道筋をつくることができればいいな」と考えていたのですが、高専4年生のときにメディア総研の存在を知り、事業内容が自分のやりたいことに近かったので入社いたしました。
なぜそのような動機を持っていたかと申しますと、高専の学生だったころ、先輩の姿を見ていると、必ずしも高専生と企業がマッチしているとは言えないなと感じていたからです。「就職活動」の分野で貢献したいと普段から周りの同級生たちには言っていたので、多くの高専生が技術者として就職していく中、いざ私がメディア総研に入社するとなっても、「晴渡だったら当然だよね」といった雰囲気でした。
メディア総研での私の役割としては、今ですと「webメディア『月刊高専』の運営」と「企業との情報交換、および企業への営業活動」が挙げられます。「月刊高専」というのは、高専教員や高専OB・OGなどといった方々のご活躍を取材記事として取り上げている媒体でして、その取材の司会進行を務めるのが私の仕事です。
「月刊高専」では、母校である新居浜高専以外の高専教員や高専OB・OGの方々と交流できるので、母校以外の高専での取り組みが知れて、とても有意義な時間になっています。
メディア総研での仕事は楽しいです。小学生のころから、「子どもは自由で毎日楽しいかもしれないけど、大人になると楽しくなくなる」と聞いたことがありましたが、そんなことはないと思っています。大人になること・社会人として働くことは、毎日が勉強でとことん自分と向き合える。思った通り大人は楽しいです。
仕事をしていると、「高専での生活は豊かだったな」と改めて思います。新居浜高専では、金属やガラス、セラミックなどといった「材料」に関する勉強をしていました。1年生の実習で、いきなり指輪をつくったのはいい思い出です。デザインを決めて、シルバー925を火で溶かして成形していきました。中学校までに学んだ知識を、実際に手を動かして体験することができ、ワクワクしたのを覚えています。高専っていいなと思った最初の出来事でした。
また、私が15歳だったときに、20歳の先輩方と関われたのは大きかったと思います。先輩方は視野が広く、心が穏やかで、程よい距離感で接してくださいました。「兄貴」というより「お兄ちゃん」といった感じでしょうか。徐々に青年になっていくタイミングで、素晴らしい先輩方に出会えたことは感謝です。
あと、高専生は他の都道府県や市外からもたくさん入学しますので、同級生の友達が地元の人を紹介してくれた結果、その人とも友達になることがよくありました。友達とは高専卒業後も常に連絡を取り合ったり、会ったりしています。専攻科や大学に進学した友達、企業に就職した友達など、さまざまな友達がいますので、話を聞くのが楽しいです。高専でできた人とのつながりは、自分の財産だと思います。
今後の課題としては、まず、高専を目指す人を増やしたいと思っています。そのためには、高専の魅力を子どもたちや、その保護者様に知ってもらえるよう、動いていかないといけません。
高専教員の存在は、高専の大きな魅力の1つだと思います。「月刊高専」の取材で教員の方々と交流させていただくと、そのレベルの高さに毎度驚かされるんです。それに気づいたのは、私が高専を卒業したからなのか、毎日のように交流しているからなのかわかりませんが、気づきの多い日々を送っています。高専教員という、博士の学位を持っている方々がたくさんいらっしゃる環境の有難さを、未来の高専生には伝えたいです。
それに加え、企業様に高専生のすごさをより評価してもらえる体制づくりもしたいと思っています。その実現のためにも、企業様との交流は欠かせません。しかし、私は高専出身者ですので、高専生のすごさを高専OBがプレゼンしていることになります。高専OBである私の仕事ぶりがダメですと説得力がなくなりますので、その自覚をしっかり持って仕事をしたいです。
私はメディア総研にとって「高専からの新卒入社第1号」だそうです。メディア総研のような業界に新卒の高専出身者が飛び込むのは、かなり珍しいことだと自分でも思います。だからこそ、私にしかできないことがあるはずです。母校を含めた全国の高専、高専教員、後輩に向けて恩返しができるような仕組みを実現したいと思います。