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2020年釧路高専_倉橋 匠さん
釧路高専OBの倉橋匠さんは、「人の役に立つ機械を作りたい」という目標を持ち高専に入学されました。高専時代は、課外活動ではバスケット―ルに励み、北海道大樹町での民間会社によるロケット打ち上げのランチャー(発射台)制作協力もされたとのこと。社会人になってからは、高専で学んだ知識と考え方に紐づけ関連性を持たせることで、いくつかの困難を克服してきたそうです。現在は、株式会社クボタでご活躍されています。 (文責:連合会事務局) 私は、「人の役に立つ機械を作りたい」という目標を持ち高専に入学しました。
釧路高専本科を卒業後は、現在所属している株式会社クボタに入社しました。「農業機械や水道管の製造を行っており、"食料"や"水"といった人の役に立つ事業を行っていること、また、私の好きな機械に携われる仕事があること」クボタとはそういう会社だと知ったことが、入社のきっかけでした。
高専では、機械材料の特性や四力学を中心とした学習、工作機械を使用した実習等を行ってきました。クボタに入社してからは、工場で設備の導入や改善を行っています。具体的には、有人で行う作業を機械に置き換える「自働化」を進めています。そのために現状調査・作業エリアのレイアウト考案・使用ロボットの選定や操作等を行います。しかし、私はロボットについて全く知識がなかったため外部企業による研修を受けました。その学習をもとに現行の改善案は実現可能かの判断ができるようになったときは自分自身の成長を感じ、嬉しかったです。
このように高専では他学科の分野であるため学習しなかったロボット操作や電気系の内容を使い、それに加え設計や試作などの機械系の内容を活用し、一つの設備を作り上げています。つまり、私の知らない分野の技術を使い、私の作ったことのないものを作るということで、とても難しいことでした。困難に直面した時に一番の支えになったのは高専で学習した機械系の知識と考え方でした。私は日々の業務で知らない分野の問題に直面した際、高専で学んだ知識と考え方に紐づけ関連性を持たせることで克服しています。
高専在学中に学んだ知識だけでは私が現在行っているような設備を設計し導入することは困難でしょう。しかし、高専には今後に活きる基盤を養う時間が5年間もあります。その時間の中で将来の自分にたくさん投資をすることで、活躍できる人材になることが大切です。高専で学ぶほどの濃い学習機会は、社会に出た後にはそう恵まれません。それに加えて会社での業務は納期や予算などが絡み合い、純粋にものづくりに集中できるとはいえません。ものづくりについて集中して学べる環境がそろっているのは高専だと思います。私は高専在学中、能動的に新たな学びの場に足を踏み入れてきたタイプの人間ではありませんでした。しかし、私のように受動的に学習してきても今の業務に応用できる基盤を作ることができるのが高専の良いところです。
近頃は特定の分野に特化した人材よりも、広い分野をカバーしたオールラウンドな人材の需要が高まっています。かくいう私の母校、釧路高専でも分野の統合が近年行われています。また、高専に限らずクボタでもオールラウンドな人材の需要が高まり、人材育成に力を入れています。
これから高専への進学を希望している、もしくは在学している方は自分の所属する環境で何をどこまで学ぶことができるのか、この機に考えてみてください。また、自分の持つ技術を試すことができるイベントがある場合は積極的に参加してみてください。私が入社してから学んだ「自分に足りないもの」を知ることができると思います。
ここまで読み進めていただき誠にありがとうございます。これから先の皆様の更なるご活躍を祈念いたします。