-
HOME > 高専卒業生からのメッセージ > 高専卒業生からのメッセージ > 2009年度松江高専_坂本 諭さん
2009年度松江高専_坂本 諭さん
松江高専OBの坂本諭さんは、高専時代に部活動の弓道をはじめ、現在のデザコンや英語プレコン等でご活躍されました。自分が一生懸命になったこと、自分だからこそ実現できたという経験が社会人になった今でも活きている。また、高専というマイノリティが強みであるとのポジティブなメッセージをいただきました。現在は、そんな経験を活かし大手ゼネコン技術研究所でご活躍されています。(文責:連合会事務局)
初めに自己紹介をします。私は2009年度に松江高専の環境・建設工学科を卒業しました。その後、神戸大学市民工学科へ学部3年次編入をし、神戸大学大学院を終了後、今の会社に就職しました。一般的な高専生の進路を考えても少数派でしょう。現在は会社の研究所で研究員として新技術の研究・開発をしていますが、皆さんが周りで見るような工事現場で、現場監督をしていた時期もあります。
さて、この「高専卒業生からのメッセージ」を見られる方は、高専OB・OG、現役の高専生、現在高専に在学している学生、これから高専入学を目指そうとしている受験生、そしてその周辺の方々と思います。個人的な意見になってしまうかもしれませんが、ここでは私の経験から高専というマイノリティであることの"強み"についてお話しします。
高専では、早ければ1年目から専門分野の授業を受けることになります。大学で専門分野の授業を受けるのは主に3~4年目ですから、専門分野に触れている期間が圧倒的に違います。大学3年編入時にはすでに土木工学に5年間も触れており、内部生と5年の差があることになります。高専では大学受験を意識した講義ではなく、本当に必要な内容を教えられると思います。従って、特に理系の分野に関しては普通の大学生と比べて大きなアドバンテージを持っていると思います。また、研究室に配属されてからも、高専時代に一度研究の実績があるので、これもアドバンテージとなるでしょう。
学業としての高専の特長は上で述べた通りですが、私がそれ以上にお伝えしたいのは、高専は普通の高校と違って多くの「経験」ができる場所で、また誰もがその機会を得ることができる場だということです。高専生は世間から見れば圧倒的なマイノリティですし、知名度も高くはないでしょう。それでも、マイノリティだからこそ、人とは違うからこそ経験できていることが必ずあります。もちろん、そういった機会に出会った際、進んで手を挙げることは必要ですが、手を挙げればそのチャンスを自分のものにできるのが高専です。在学中はそのことに気が付くことが難しいかもしれませんが、卒業後、大学や社会に出た時にそのことがよく分かると思います。
私は在学中、部活動としては弓道で、その他の課外活動では、橋の模型の強さを競うブリッジコンテスト(現デザインコンテスト)、英語でのプレゼンテーション能力を競う英語プレゼンテーションコンテストなどに参加していました。他にもここでは書ききれないたくさんの経験をすることができました。また、大学編入後には山岳部に入部し、社会人になってからは海外の6000m級未踏峰に挑戦・登頂することもできました。これらも全て、高専が人とは違う経験ができ、「チャンスを掴めば実現できる」ことを教えてくれる場所だったからと私は信じています。英語を頑張ったから、英語が社会に出た時に活かせたという直接的なものではなく、その当時、自分が一生懸命になったこと、自分だからこそ実現できたという経験が、社会人になった今でも活きていると感じています。
昔と違い、今の社会で求められているのはその人の持つ「特殊性」と思います。人とは違う、その人にしかできないことに価値があると思います。高専は、皆さんにとってその価値を見つけ、高められる場所になるかもしれません。